

暗号資産は、インターネット上のみでやり取りされる電子データで、現金のように物理的な形を持たないデジタル資産です。法改正により「仮想通貨」から「暗号資産」という呼称に変更され、現在ではこの名称が一般的に使用されています。
暗号資産の最大の特徴は、法定通貨と交換可能でありながら、銀行や国家によって発行・保証されない点にあります。その価値は完全に市場の需給関係に依存するため、価格変動が非常に大きいという特性を持っています。この特性により、短期間で大きな利益を得る可能性がある一方で、同様に大きな損失を被るリスクも内包しています。
資金決済法では、暗号資産を以下のような性質を持つ財産的価値と定義しています。まず、不特定の人に対する支払いなどに使用でき、法定通貨(日本円や米ドルなど)と交換可能であること。次に、電子的に記録され、インターネットを通じて移転可能であること。そして最後に、法定通貨や法定通貨建ての資産(プリペイドカードや電子マネーなど)ではないことです。
一般的に、暗号資産の購入や換金は「取引所」や「販売所」といった暗号資産交換業者を通じて行われます。これらの業者は、投資家と暗号資産市場をつなぐ重要な役割を果たしており、適切な業者選びが安全な取引の第一歩となります。
暗号資産には大きなリターンの期待がある一方で、多岐にわたるリスクが存在します。金融当局は暗号資産への投資を検討している投資家に対して、以下のような重要な注意事項を提示しています。
まず、暗号資産は「法定通貨」ではないという基本的な理解が必要です。これは、国家による価値保証がないことを意味し、その価値は市場参加者の信頼と需給関係のみに依存します。また、暗号資産の価格は激しく変動する特性があり、予測困難な価格変動により資産価値が大きく増減する可能性があります。
暗号資産交換業者を利用する際には、必ず登録を受けた正規の事業者であることを確認する必要があります。無登録業者との取引は、詐欺や資産流出のリスクが極めて高くなります。取引を行う前には、事業者から十分な説明を受け、取引内容やリスクをしっかりと理解することが不可欠です。
近年、暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増加傾向にあります。「確実に儲かる」「今だけの特別な機会」といった甘い言葉に惑わされず、詐欺や悪質商法に十分注意することが重要です。
1. 価格の急変動リスク
暗号資産市場の最も顕著な特徴は、その価格変動の激しさです。株式市場や為替市場と比較しても、暗号資産の価格変動幅は極めて大きく、短期間で数十パーセント、時には数倍の変動が発生することも珍しくありません。
政治的な決定、新たな規制の発表、主要企業の参入や撤退、あるいは影響力のある人物の発言など、様々な要因が価格に即座に影響を与えます。このような市場の特性により、資産が一夜にして大きく増減する可能性が常に存在します。例えば、規制強化のニュースが流れれば数時間で価格が半減することもあれば、逆に大手企業の採用発表で急騰することもあります。
この激しい価格変動は、投資家に大きな心理的プレッシャーを与え、冷静な判断を困難にする要因となります。特に投資経験の浅い投資家にとっては、この変動に対応することが非常に困難であり、感情的な取引判断による損失拡大のリスクが高まります。
2. 詐欺的なプロジェクトや情報に関するリスク
暗号資産市場の拡大に伴い、詐欺的なプロジェクトや虚偽の情報も増加しています。「今すぐ投資すれば数十倍になる」「限定的な投資機会」といった魅力的な言葉で投資家を誘い、実態のないプロジェクトへの投資を促す詐欺が後を絶ちません。
SNSやインターネット上では、偽の成功体験や架空の利益報告が拡散され、それらを信じた投資家が被害に遭うケースが増えています。また、有名人や専門家を装った詐欺アカウントによる情報発信も横行しており、情報の真偽を見極めることが極めて重要です。
投資判断を行う際には、プロジェクトの実態、開発チームの信頼性、技術的な実現可能性などを慎重に確認し、過度に楽観的な情報や保証された利益を謳う案件には特に警戒が必要です。
3. サイバー攻撃やセキュリティに関するリスク
暗号資産はデジタル資産であるため、オンライン上のセキュリティ対策が資産保護の要となります。サイバー攻撃による資産の窃盗、フィッシング詐欺、偽のログイン画面による秘密鍵やパスワードの盗難など、様々な手口による被害が報告されています。
過去には、大手取引所がハッキング被害を受け、大量の暗号資産が流出する事件が複数発生しています。また、個人のウォレットが狙われるケースも増加しており、セキュリティ意識の低い投資家が特に被害に遭いやすい傾向があります。
二段階認証の設定、強固なパスワードの使用、秘密鍵の厳重な管理など、基本的なセキュリティ対策を徹底することが不可欠です。また、不審なメールやリンクには絶対にアクセスせず、公式サイトからのみログインするなど、日常的な注意も重要です。
4. 税務上の負担リスク
日本における暗号資産取引の税制は、投資家にとって大きな負担となる可能性があります。暗号資産の取引による利益は雑所得として計上され、給与など他の収入と合算して課税される総合課税方式が適用されます。
特に注意が必要なのは、年間20万円以上の利益を得た場合には確定申告が必要となる点です。所得に応じて税率が累進的に上昇し、最大で55%(所得税45%+住民税10%)に達する可能性もあります。これは、株式投資の約20%の税率と比較して非常に高い水準です。
また、暗号資産同士の交換や商品購入に使用した場合も課税対象となるため、取引の都度、利益計算と記録が必要です。この複雑な税務処理を怠ると、後に多額の追徴課税や罰則を受けるリスクがあります。
5. 規制の変更による影響リスク
暗号資産市場は比較的新しい市場であり、各国が独自の規制を模索している段階です。そのため、突然の規制変更により、取引が制限されたり、通貨の価格が急落したりするリスクが常に存在します。
規制強化の動きは世界各国で見られ、マネーロンダリング対策、投資家保護、金融システムの安定性確保などの観点から、様々な規制が導入されています。これらの規制変更は、市場全体に大きな影響を与え、価格の急変動や取引環境の変化をもたらす可能性があります。
投資家は、自国だけでなく主要国の規制動向にも注意を払い、規制変更が市場に与える影響を理解しておく必要があります。
6. 送金ミスによる資産損失リスク
暗号資産取引における送金は、従来の銀行送金とは大きく異なる特性を持っています。最も重要な点は、一度実行された送金は原則として取り消すことができないという点です。
送金先アドレスを一文字でも間違えると、資産は誤った宛先に送られ、回収はほぼ不可能です。また、対応していないネットワークに送金した場合も、資産が失われる可能性があります。このような送金ミスは、特に初心者に多く見られ、一度の操作ミスで全資産を失うケースも報告されています。
送金を行う際には、アドレスの確認を複数回行い、まず少額でテスト送金を実施するなど、慎重な対応が求められます。
暗号資産取引には、現物取引とレバレッジ取引の2種類が存在します。現物取引は、手持ちの資金内で購入するシンプルな方法ですが、レバレッジ取引では取引所から資金を借りて、手持ち資金以上の額で取引を行うことが可能です。
レバレッジ取引の仕組みは、少ない資金で大きな利益を狙える反面、損失も同様に拡大するという特性があります。例えば、10万円の資金で10倍のレバレッジをかければ100万円分の取引が可能ですが、価格が10%下落すれば、元本の100%、つまり全額を失うことになります。
暗号資産市場の著名アナリストは、レバレッジ取引を行う投資家に対して厳しい警告を発しています。高倍率のレバレッジを使用しながら長期的に成功を収めた投資家は極めて少なく、多くの場合、一時的な成功の後に大きな損失を被り、市場から退場することになります。
レバレッジ取引の失敗は、資金を大幅に減らすだけでなく、最悪の場合、借金を抱えることにもつながります。暗号資産の価格変動は予測が困難であり、短期間で相場が急変することが頻繁にあるため、リスク管理ができなければ致命的な損失を被る可能性が非常に高いのです。
特に、市場の急変動時には、強制的に決済される「ロスカット」が発動し、想定以上の損失が発生することもあります。このようなリスクを十分に理解せずにレバレッジ取引を行うことは、極めて危険な行為と言えます。
暗号資産はデジタルデータとして保管されているため、取引所や個人ウォレットがハッキングされれば、一瞬で資産が盗まれるリスクが存在します。過去には、複数の大手取引所がサイバー攻撃の標的となり、大量の暗号資産が流出する事件が発生しています。
国内の取引所では、法律に基づき顧客資産と会社の資産を分別管理することが義務付けられています。この制度により、取引所が破産した場合でも顧客資産は保護される仕組みが整えられており、実際に過去の事件でも多くの場合、顧客資産が返還されています。
しかし、分別管理が義務付けられていない海外の取引所では、このような保護制度がない場合が多く、資産流出のリスクが格段に高まります。海外取引所の中には、突然営業を停止し、顧客資産が返還されないまま消滅するケースも報告されています。
こうした背景から、国内の登録を受けた取引所を選ぶことは、リスク回避の観点から非常に重要です。また、取引所に大量の資産を預けたままにせず、自己管理のウォレットに移すなど、分散管理を行うことも推奨されます。
個人レベルでも、秘密鍵の厳重な管理、二段階認証の導入、定期的なパスワード変更など、セキュリティ対策を徹底することが求められます。
暗号資産市場の特徴である激しい価格変動は、適切な損切り判断を困難にします。価格が下落した際に「いずれ回復するだろう」と期待して保有を続ける「塩漬け」状態は、さらなる損失を招く最も一般的な失敗パターンです。
一度下落トレンドに入った暗号資産は、回復せずに暴落を続ける場合も少なくありません。特に、実態のないプロジェクトや需要の少ない通貨の場合、価格がゼロに近づくまで下落し続けることもあります。このような状況で損切りをせずに保有を続けることは、損失を確定させることへの心理的抵抗から生じますが、結果として損失をさらに拡大させることになります。
損失を最小限に抑えるためには、投資を始める前に「損切りライン」を明確に設定し、そのラインに達した時点で感情を排除して機械的に売却することが重要です。例えば、「購入価格から20%下落したら必ず売却する」というルールを設定し、それを厳守することで、致命的な損失を回避できます。
また、暗号資産の中には短期間で急騰するものもあり、一部の投資家は莫大な利益を得ていますが、単一の資産に多額を投入することは極めて高リスクです。突然の暴落により資産がほぼゼロになる恐れもあるため、複数の通貨に分散投資し、相場を注視しながらリスクを分散することが推奨されます。
国内暗号資産業界では、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)に代わり、IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)が新たな資金調達手段として注目を集めています。IEOとは、暗号資産取引所が新しいトークンの発行と販売をサポートすることで、プロジェクトが資金調達を行う手法です。
IEOは取引所が運営に関与しているため、ICOと比較して一定の審査が行われ、詐欺的なプロジェクトのリスクが低減されているとされます。しかし、取引所の審査を通過したからといって、プロジェクトの成功が保証されるわけではありません。
実際には、IEOで資金調達を行ったプロジェクトの中にも、期待されたサービスやプロダクトを実現できず、トークン価格が大幅に下落したり、プロジェクト自体が頓挫したりする事例が散見されています。このような場合、投資した資金が回収できないだけでなく、トークンの価値がほぼゼロになることもあります。
IEOへの投資を検討する際には、プロジェクトの実現可能性、開発チームの経験と実績、市場における需要の有無などを慎重に評価することが重要です。また、取引所がそのプロジェクトをどの程度厳密に審査しているか、過去のIEO案件の成功率なども確認すべきポイントです。
日本国内では過去に複数の暗号資産関連事件が発生してきました。しかし、先述の資産分別管理の規定により、多くの場合、顧客資産が返還される結果となっています。以下では、代表的な事件とその対応について解説します。
過去、親会社の経営破綻に伴い、その日本法人も破産手続きに入った事例があります。しかし、日本の法規制により顧客資産は分別管理されていたため、破産手続き中も顧客資産は適切に保護されました。その後、比較的短期間で顧客への出金が再開され、大部分の資産が返還されました。
この事例は、日本の厳格な規制が顧客保護に有効に機能したケースとして注目されました。海外の親会社が破綻した場合でも、日本国内の顧客資産は別途管理されているため、影響を最小限に抑えることができたのです。
過去、国内の主要取引所で大規模なハッキング事件が発生し、約580億円相当の暗号資産が不正流出しました。当時、セキュリティ対策が十分でなかったことが原因とされ、顧客資産がオンライン上のウォレット(ホットウォレット)で管理されていたことが問題視されました。
この事件を受けて、取引所は顧客への補償を実施し、その後セキュリティ体制を大幅に強化しました。また、業界全体でもセキュリティ基準の見直しが行われ、オフラインでの資産管理(コールドウォレット)の重要性が再認識されました。
暗号資産市場の黎明期に、当時世界最大級の取引所が大規模なハッキング被害を受け、約85万BTC(当時約480億円相当)が流出し、破産に追い込まれた事件がありました。
当時は顧客資産の分別管理が不十分だったため、多くの資産が保護されないままとなりました。事件後、長期にわたる裁判手続きを通じて一部の資産が回収され、現在も返還手続きが進行しています。この事件は、暗号資産取引におけるセキュリティと資産管理の重要性を業界全体に認識させる契機となりました。
近年、国内の大手取引所がハッキング被害を受け、約482億円相当のビットコインが不正に流出する事件が発生しました。この事件では、取引所が迅速に対応し、セキュリティ体制をさらに強化しました。
事件発生後、比較的短期間でグループ会社などからの資金調達を完了し、ユーザーへの被害補償に必要な資金を確保しました。この迅速な対応は、顧客の信頼を維持する上で重要な役割を果たし、日本の取引所の危機管理能力の高さを示す事例となりました。
ブロックチェーンデータ分析企業の調査によれば、近年の暗号資産市場は、過去の多くの事件や価格下落から回復を見せ、成長フェーズに入る兆しが見られます。同時に、犯罪に関わる暗号資産取引も減少傾向にあり、不正取引額は大幅に減少しています。
詐欺行為や資金盗難も減少傾向にあり、特に分散型金融(DeFi)関連のハッキングが大幅に減少しました。これは、DeFiプロトコルのセキュリティが向上したことや、業界全体のセキュリティ意識が高まったことが要因と考えられます。
一方で、ランサムウェア攻撃やダークネット市場での不正取引は増加傾向にあります。ランサムウェア攻撃では、身代金の支払いに暗号資産が使用されることが多く、その匿名性が悪用されています。また、制裁対象となっている企業や地域での不正取引も依然として多く、国際的な規制強化の必要性が指摘されています。
全体として、暗号資産市場の成熟に伴い、一部の犯罪は減少していますが、新たな手口による犯罪も出現しており、継続的な警戒が必要な状況です。
暗号資産投資で損失を重ねるのは、特定の傾向を持つ投資家に多く見られます。以下のような特徴に当てはまる場合は、特に注意が必要です。
暗号資産に関する情報は、しばしば急騰や爆上げといったインパクトのある価格変動の話題で溢れています。このような情報に引き寄せられ、短期間で大儲けを夢見て投資を始める人は、失敗するリスクが非常に高いです。
このタイプの投資家は、投資対象の実態や将来性を深く考えずに、価格上昇の期待だけで投資判断を行う傾向があります。その結果、冷静さを欠きやすく、損失が出た場合もその回復を「次の投資」に賭けるなど、負の連鎖に陥りやすいのです。
特に、生活資金や借金を使って投資を行うことは極めて危険です。暗号資産投資は余剰資金で行うべきであり、失っても生活に支障のない範囲での投資が原則です。「一発逆転」を狙う心理状態では、この原則を守ることが困難になり、最終的には経済的に深刻な状況に陥る可能性が高まります。
SNSやインターネット上には、「このコインは確実に伸びる」「内部情報に基づく推奨銘柄」といった主張が数多く存在します。これらの情報を批判的に検証せず、そのまま信じ込んでしまう投資家も失敗しやすいタイプです。
情報の発信者の意図や信頼性を確認せずに、噂や口コミだけで投資判断を行うことは、詐欺や架空プロジェクトに資金を失う可能性を大幅に高めます。特に、匿名のアカウントや実績の不明な情報源からの情報には、十分な警戒が必要です。
投資判断を行う際には、複数の信頼できる情報源から情報を収集し、プロジェクトの公式情報や第三者による分析レポートなどを参照することが重要です。また、情報の発信時期や文脈も考慮し、古い情報や特定の意図を持って発信された情報に惑わされないよう注意が必要です。
暗号資産市場は、株式市場や債券市場と比較してボラティリティ(価格変動幅)が非常に高い特性を持っています。大きなリターンを期待できる反面、損失のリスクも同様に大きいという特徴を十分に理解せずに投資を行う人は、短期間で資産を大きく失う傾向があります。
このタイプの投資家は、自身のリスク許容度を正しく評価せず、無謀な金額で投資を行ったり、過度なレバレッジを使用したりする傾向があります。また、分散投資の重要性を理解せず、単一の通貨に全資産を投入するなど、リスク管理の基本を無視した投資を行いがちです。
適切なリスク管理には、自身の資産状況、投資経験、リスク許容度を正確に把握し、それに応じた投資戦略を立てることが不可欠です。また、市場の変動に対して冷静に対応できる精神的な余裕も重要な要素となります。
現時点で、世界で暗号資産に投資している人口は全体の約5%程度と推定されており、市場はまだ成長の初期段階にあると考えられます。この観点から、早期参入によるメリットを享受できる可能性があることは否定できません。
過去のデータを見ると、主要な暗号資産は長期的に高いリターンを記録してきました。特にビットコインは、過去10年間の平均リターンが年間数百パーセントに達しており、伝統的な投資商品を大きく上回るパフォーマンスを示しています。
近年では、機関投資家の参入が加速しており、大手金融機関や企業が暗号資産を投資ポートフォリオに組み入れる動きが広がっています。また、暗号資産関連の金融商品も増加しており、従来は直接投資が難しかった投資家も、間接的に暗号資産市場にアクセスできるようになっています。
政治的な動きも市場に影響を与えています。一部の国では、暗号資産を戦略的資産として位置づける動きがあり、これが価格上昇の要因となる可能性があります。また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発が進むなど、デジタル資産全体への関心が高まっています。
技術面では、ブロックチェーン技術の応用範囲が拡大しており、金融分野だけでなく、サプライチェーン管理、デジタルアイデンティティ、分散型アプリケーションなど、様々な分野での活用が進んでいます。これらの技術発展が、暗号資産の実用性と価値を高める要因となっています。
開発途上国では、国家レベルでの暗号資産採用に向けた準備が進んでいるとの報告もあります。特に、自国通貨の不安定性や金融インフラの未整備といった課題を抱える国々では、暗号資産が新たな金融システムの基盤となる可能性があります。
しかし、これらの将来性は、規制環境の整備、技術的な課題の解決、市場の成熟など、様々な要因に依存しています。投資を検討する際には、これらの要因を総合的に評価し、長期的な視点で判断することが重要です。
暗号資産投資の魅力を享受しつつ、リスクを適切に管理するためには、以下の5つの基本原則を理解し、実践することが重要です。
1. 「情報の裏付け」を取る
SNSや掲示板などで流れる情報を無批判に受け入れることは、最も危険な行動の一つです。投資判断の基礎となる情報は、必ず複数の信頼できる情報源から確認し、その真偽を検証する必要があります。
具体的には、投資先のプロジェクトが提供する公式のホワイトペーパー(技術文書・事業計画書)を詳細に読み込み、プロジェクトが解決しようとしている問題、採用している技術、実現可能性、競合との差別化要因などを理解することが重要です。
また、開発チームの経歴や実績、過去のプロジェクト経験なども確認すべきポイントです。匿名のチームや実績の不明なチームが運営するプロジェクトには、特に慎重な姿勢が求められます。
第三者による分析レポートや、業界専門家の意見も参考になりますが、これらも鵜呑みにせず、自身で判断する材料の一つとして活用すべきです。情報収集と分析に時間をかけることは、投資成功の確率を高める重要な要素です。
2. 「現物」投資からスタートする
暗号資産投資の初心者は、レバレッジ取引を避け、まず現物投資から始めることを強く推奨します。現物投資であれば、最悪の場合でも購入した資産の価値がゼロになるだけで、それ以上の損失は発生しません。
レバレッジ取引は、経験豊富な投資家でも大きな損失を被るリスクが高く、市場の急変動時には予想以上の損失が発生する可能性があります。初心者がレバレッジ取引に手を出すことは、資産を失うリスクを不必要に高める行為です。
現物投資で市場の動きを学び、自身の投資スタイルやリスク許容度を理解してから、必要に応じて他の投資手法を検討するという段階的なアプローチが、長期的な成功につながります。
3. 「数パーセントずつ」の分散投資でリスクを回避
暗号資産市場には数千種類の通貨が存在し、それぞれ異なるリスクとリターンの特性を持っています。全資産を単一の通貨に投入することは、その通貨の価格変動に完全に依存することを意味し、極めて高リスクな戦略です。
分散投資の基本は、複数の通貨に資産を分散させることで、特定の通貨の急落による影響を最小限に抑えることです。例えば、ビットコインやイーサリアムなどの主要通貨を中心に、いくつかの有望なアルトコインに少額ずつ投資するという戦略が考えられます。
各通貨への投資比率も重要で、リスクの高い通貨への投資は全体の数パーセント程度に抑え、安定性の高い主要通貨に大部分を配分するなど、バランスの取れたポートフォリオを構築することが推奨されます。
また、暗号資産だけでなく、株式や債券など他の資産クラスとも組み合わせることで、さらにリスクを分散させることができます。
4. 損失許容の「マイナス幅」を決める
感情的な投資判断を避けるためには、投資を始める前に明確な損切りルールを設定することが不可欠です。「購入価格から20%下落したら売却する」というような具体的な基準を設け、それを厳守することで、損失の拡大を防ぐことができます。
この損切りラインは、自身のリスク許容度や投資目的に応じて設定すべきですが、一度設定したら、市場の状況に関わらず機械的に実行することが重要です。「もう少し待てば回復するかもしれない」という期待は、多くの場合、さらなる損失につながります。
また、利益確定のルールも同様に重要です。目標とする利益率に達したら、一部または全部を売却するというルールを設定することで、利益を確実に確保し、その後の価格下落による利益の消失を防ぐことができます。
5. 国内取引所を利用する
日本国内の暗号資産取引所は、金融庁の厳格な規制と監督の下で運営されており、顧客資産の分別管理が法律で義務付けられています。これにより、取引所が破産した場合でも、顧客資産は保護される仕組みが整っています。
海外取引所の中には、このような保護制度がない場合や、規制が緩く、セキュリティ対策が不十分な場合があります。また、日本語サポートが不十分で、トラブル発生時の対応が困難になることもあります。
国内取引所を選ぶ際には、金融庁に登録されているか、セキュリティ対策が十分か、過去の事故や問題の有無、手数料体系、取り扱い通貨の種類などを総合的に評価することが重要です。
また、取引所に大量の資産を預けたままにせず、長期保有する資産は自己管理のハードウェアウォレットに移すなど、さらなるセキュリティ対策を講じることも推奨されます。
暗号資産は、新しい投資機会として大きな注目を集める一方で、価格変動、詐欺、ハッキング、税務負担など、多様で深刻なリスクが存在します。過去には、国内外で大規模なハッキング事件や取引所の破綻が発生し、多くの投資家が被害を受けてきました。
日本は、暗号資産関連のサイバー攻撃の主要な標的となっており、国内の主要取引所も複数回にわたって被害を受けています。しかし、日本の厳格な規制により、多くの場合、顧客資産は保護され、返還されてきました。
暗号資産投資で失敗しやすいのは、「一発逆転」を狙う投資家、情報を批判的に検証せずに鵜呑みにする投資家、リスク管理の重要性を理解していない投資家です。これらの傾向に当てはまる場合は、投資を始める前に自身の投資スタイルを見直す必要があります。
一方で、暗号資産市場には将来性も存在します。機関投資家の参入、技術の発展、規制環境の整備などにより、市場は徐々に成熟しつつあります。早期参入によるメリットを享受できる可能性もありますが、それは適切なリスク管理を前提とした場合に限られます。
投資を検討する際には、信頼できる情報源から十分な情報を収集し、プロジェクトの実態を理解した上で判断することが重要です。また、現物投資から始める、分散投資を行う、明確な損切りルールを設定する、国内の登録取引所を利用するなど、基本的なリスク管理を徹底することが不可欠です。
暗号資産投資は、適切な知識とリスク管理があれば、資産形成の有効な手段となり得ますが、安易な判断や過度な期待は大きな損失につながる可能性があります。投資を始める前に、本記事で紹介したリスクと対策を十分に理解し、自身の状況に応じた慎重な判断を行うことが、成功への第一歩となるでしょう。
暗号資産投資のリスクには、激しい価格変動、不正・詐欺、ハッキング、高い税率、自己責任によるリスクが含まれます。また、中央管理者がないため、トラブル時に補償を受けられない可能性もあります。
レバレッジ取引による過度なリスク、損切りを実行しない塩漬け状態、セキュリティ対策の甘さ、ICOなど高リスク商品への無計画な投資、そして勉強不足のまま行き当たりばったりで取引する人が大損しやすい傾向にあります。
リスクを十分に理解し、余剰資金で投資を始めることが重要です。信頼できるプラットフォームを選び、長期・分散投資を心がけ、市場変動に慌てず慎重に進めましょう。
暗号資産は価格変動が大きく、詐欺やハッキングのリスクがあります。登録業者を利用し、二段階認証を設定することが重要です。詐欺に注意し、金融庁の確認を忘れずに。
暗号資産は規制が不十分で、投機的取引が多く、ニュースに過敏に反応するため、ボラティリティが極めて大きいです。年間変動率は通常50~100%を超え、株式や金をはるかに上回ります。
複雑なパスワードの設定、二段階認証の有効化、フィッシング詐欺への注意、資金を安全なウォレットに移動させることが重要です。公共Wi-Fiの使用を避け、定期的にセキュリティを確認しましょう。











