利下げしても上昇する米国債利回り…債券市場は今、FRBを信じていない

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出典:BlockMedia
原題:金利が引き下げられても上昇する米国債利回り…債券市場は今、FRBを信用していない
オリジナルリンク:https://www.blockmedia.co.kr/archives/1016278
米連邦準備制度(FRB)による利下げが本格化したにもかかわらず、長期国債利回りがむしろ上昇しており、市場参加者の解釈が分かれている。金利と利回りの伝統的な相関関係が崩れる中、「債券市場がFRBの政策方向性に疑問を呈している」という評価も出ている。

FRBは2024年9月から政策金利引き下げサイクルに入り、現在まで合計1.5%ポイント引き下げた。これにより、現在の米国政策金利は年3.75~4.00%の範囲に位置している。市場は今週のFOMC会合で、さらに0.25%ポイントの引き下げが行われると予想しており、来年中に2回の追加利下げを織り込んでいる。

しかし、10年物米国債の利回りは利下げ開始時点以降、0.5%ポイント以上上昇した4.1%水準を記録しており、30年物利回りも0.8%ポイント近く上昇し、予想外の動きを見せている。

長短金利の乖離…市場の信頼揺らぐか

通常、政策金利が引き下げられると長期債利回りも一緒に下落するのが一般的だ。しかし現在のような局面は1990年代以降、珍しい例外的な動きである。「政策信頼の弱体化または国債供給過剰による構造的反応との解釈が出ている」と伝えられている。

JPモルガン グローバル金利戦略責任者のジェイ・バリー氏は「パンデミック後に急激な金利上昇局面があったため、市場はFRBの方向転換の可能性をすでに織り込んでいた」とし、「今はソフトランディングを目指す拡張局面での利下げなので、長期利回りの下落幅は限定的かもしれない」と分析した。

トランプ発の政治的圧力懸念…「FRBの独立性が揺らぐ可能性」

市場ではドナルド・トランプ大統領によるFRBへの直接的な影響力拡大の可能性も、もう一つの不確実性要因として指摘されている。トランプ大統領はジェローム・パウエル議長の任期が終了する来年5月以降、自身の側近をFRBトップに指名できる状況であり、有力候補にはケビン・ハセット国家経済会議(NEC)議長が挙げられている。

スタンダード銀行G10戦略責任者スティーブン・バロー氏は「トランプ2期目政権の政策は長期金利を人為的に下げることに焦点を当てているが、政治的な人物をFRBトップに据えても長期金利を下げられる構造ではない」とし、「むしろFRBの政策独立性が揺らげば、インフレと利回り上昇を刺激する可能性がある」と指摘した。

市場の本当の懸念は「財政健全性」と「政策信頼」

こうした状況で「タームプレミアム(term premium)」の上昇も目立つ。これは投資家が長期債を保有する際に要求するリスクプレミアムであり、ニューヨーク連邦準備銀行によるとFRBが利下げを開始した昨年9月以降、このプレミアムは約1%ポイント上昇したという。

ビアンコリサーチ代表のジム・ビアンコ氏は「債券市場が本当に懸念しているのは、FRBが金利を下げてもインフレ率が依然として2%目標を超えている点だ」とし、「政策信頼への懸念が反映された結果だ」と分析した。

「今は正常化した金利構造」…グリーンスパン時代との比較も

一部の市場参加者は現在の状況を2000年代中盤の「グリーンスパン・コナンドラム(Greenspan Conundrum)」と比較する。当時はFRBが政策金利を急速に引き上げても長期金利は上がらず、政策効果が半減した。一方、現在は逆にFRBが金利を下げているにもかかわらず長期金利が上昇している状況だ。

スタンダード銀行のバロー氏はこれを「国債需給の逆転現象」と解釈する。過去はグローバルな貯蓄過剰で債券需要が多かったが、今は主要国の財政支出拡大で債券供給が溢れ、利回りに持続的な上昇圧力がかかっているという。

PGIM債券のチーフインベストメントストラテジスト、ロバート・ティップ氏は「パンデミック後に急騰した金利が、今や金融危機以前の“正常な金利水準”へと回帰しているのかもしれない」と診断した。

今後注目スケジュール

  • 12月9日:NFIB中小企業楽観指数、JOLTS(求人・離職レポート、9・10月)
  • 12月10日:住宅ローン申請、雇用コスト指数、FOMC
  • 12月11日:新規失業保険申請件数、貿易収支、卸売在庫、家計純資産
  • 債券入札スケジュール:8~11日間、3年物・10年物再開、30年物入札予定
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