トランプ、NVIDIAのAIチップ中国輸出を電撃承認…米中技術覇権競争の転換点

出典：BlockMedia 原題：トランプ、エヌビディアAIチップの中国輸出を電撃承認…技術覇権の転換点となるか(総合) ドナルド・トランプ大統領がエヌビディアの高性能人工知能(AI)半導体であるH200チップの中国輸出を承認し、米中間の技術統制政策に重大な転換点を迎えた。これは当初、AIチップの輸出を厳格に制限するという従来方針から後退した措置であり、米国内の政界や産業界で賛否が分かれている。

政策転換の背景

トランプ大統領は、商務省がエヌビディアのH200チップの対中販売を許可したと明らかにし、同様の機会がAMDやインテルなど他の半導体企業にも提供されると述べた。特にチップ販売収益の一部を米国政府に帰属させる方針も明らかにした。これに関連し、業界専門家は輸出許可に伴う政府収益分配が米国現行法に抵触する可能性を指摘している。

エヌビディアCEOのロビー活動の成果とワシントンの懸念

今回の決定は、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOにとって戦略的な勝利と評価されている。フアンCEOは数か月にわたりホワイトハウスや商務省に対して輸出制限緩和のロビー活動を行ってきたほか、先週トランプ大統領との面談後に好意的なシグナルが観測されていた。トランプ大統領は当時、フアンCEOを「素晴らしい成果を上げた人物」として直接称賛した。

しかし、このような政策転換について、ワシントン政界内では批判の声が上がっている。超党派の議員らは中国へのAI技術輸出が安全保障上の脅威になり得ると懸念を示し、超党派法案を共同提出した。一部の上院議員は「国家安全保障を取引材料にしてはならない」としてトランプ政権の決定に強い懸念を表明した。

エヌビディア側は、商務省による事前審査を通過した商業顧客に限りH200チップを供給する方針だと述べている。エヌビディア広報担当者は「今回の決定は米国内の高賃金雇用創出と半導体産業の競争力維持に寄与する」としてトランプ大統領の決定を歓迎すると語った。

中国の反応と技術自立化

ただし、中国が実際にH200チップを購入するかは依然として不透明だ。以前、米国が中国市場向けに開発したH20チップについても、北京当局は安全保障上の懸念を理由に使用を制限した前例がある。H200チップも同様の制約を受ける可能性が指摘されている。

中国は米国による輸出制限措置以降、技術自立を加速させており、自国製AI半導体の開発を強化している。米国が輸出を許可したとしても、中国政府の政策方針によって需要が限定される可能性があるとの見方も出ている。

米中技術外交の流れ

トランプ大統領は今回のチップ販売承認を含め、米中間の技術紛争の緩和に向けた外交的な動きを強化している。相互の技術輸出規制凍結やレアアース輸出再開、米国産大豆の輸入拡大を含む暫定合意を導き出し、来年4月の中国訪問も受け入れている。

米中間の技術覇権競争が続く中、米国の今回の輸出政策転換が今後両国の経済・外交関係やグローバルAI産業構造にどのような影響を及ぼすか、注目されている。